働き方改革 残業削減&生産性向上コンサルティング 自社でも成果を出したノウハウ WLB社加盟コンサルタント

働き方改革コンサルティング 事例紹介

会社名 株式会社東北新社
業種  映像制作
従業員 約800名


株式会社東北新社様 事例紹介

株式会社東北新社が働き方改革をスタートしたのは、2015年10月のこと。今でこそ浸透している「働き方改革」という言葉がまだそれほど使われていなかった時から 風土改革を軸に着手されたことが特徴的と言えます。取り組みから3年半。会社のこれまでの取り組みとその変化について、当初から専任担当として関わっていらっしゃる、 東北新社 ワークスタイルデザイン室の三井様と、2017年に新卒入社でワークスタイルデザイン室に配属となり、そこから担当されている亀井様にお話を伺いました。
(インタビューはセントワークス株式会社 一之瀬と株式会社エフコネクト 清水)


働き方改革に取り組んだトライアルチームの結果(一例)

Aチーム  残業 50%削減  売上目標 144%達成  CM制作関係
Bチーム  残業 50%削減  売上目標 121%達成  音響字幕制作関係
Cチーム  残業 63%削減  休暇取得 74%増    映像制作関係



「優秀な人材の確保」と「生産性の向上」を目指して働き方改革がスタート

一之瀬)
働き方改革に着手されたきっかけは、どのようなことでしたか?

三井)
きっかけは、会社の競争力を高めるため2015年年頭からスタートした「改革プロジェクト」でした。これは、「会社を変えていく」ことを目的として様々な角度から改革を試みる取り組みです。 その中で、ワークライフバランスや新たな働き方の実現の方向性を示し、意識改革・風土改革を進めるために「働き方改革委員会」が設置されました。 (「働き方改革委員会」は2018年7月に「ワークスタイルデザイン室」として独立組織に)

「働き方改革委員会」が目指したのは、長時間労働が恒常化している映像制作業界の過去の習慣やルールから、いち早く脱却すること。 年齢性別に関係なく誰もが活き活きと働き続けることができること。そして、「モノづくりもプライベートも両方楽しみたい!」が成立する会社になること。
その背景には、人材の流出、優秀な人材の確保が難しくなったことがありました。すでに社員の約4割は女性社員でしたが、女性が昇進・キャリアアップを積極的に望める環境ではなかったため、 一部の制作部門においては、結婚や育児を考えた優秀な人材が辞めてしまう…ということが起きていました。


「やるならいち早く、ちゃんと取り組もう!」というトップの方針から外部に依頼

一之瀬)
外部コンサルタントに依頼しようと考えた理由は?

三井)
取り組み以前は「ワークライフバランス」という言葉とはかけ離れた職場環境でしたし「ワークライフバランス」という言葉も社内ではほとんど知られていませんでした。 そのような中で、先の意識や行動を変え、新しい考え方を根づかせるには外部の専門家の力が必要と判断し、外部コンサルタントを入れることを決断しました。

一之瀬)
会社によっては自社で進めたり、コストをかけられないという企業もある中で、大きな決断であったと推測します。それでも意識や風土を変えるためには外部の力を借りる必要があると考えられたのですね。

三井)
「やるならいち早く、ちゃんと取り組もう!」という働き方改革委員会の二宮委員長(当時は副社長。現社長)の方針がまずあったことが、外部に依頼した大きな理由です。

一之瀬)
三井さんは、働き方改革委員会が設置された時に異動してきたそうですが、最初はどんなお気持ちでしたか?

三井)
「働き方改革って何?」という状態で、最初に感じたのは「何をどうしたらいいの?」という戸惑いでした。それでもその進め方を模索していく中で、株式会社ワーク・ライフバランス 社長である小室淑恵さんの存在を知り、 ワークライフバランスについて学び、コンサルタント養成講座も受講しました。そしてやはり外部の力も必要と考え、映像制作プロダクションやメディア関係を手掛けているコンサルティング会社がほとんど見つからない中、 何社かの話を聞いた結果、セントワークスに依頼。まずは全社員を対象とした働き方改革セミナーを実施し、その後、現場の働き方改革として、トライアルチームを選出して毎月カエル会議を行いました。


意識改革・風土改革の難しさと見えてきた変化

三井)
一番難しかったのは、社員の意識を変えることでした。 まず、クリエイティブな仕事の性質上、正解や明確なゴールが無いに等しく、 時間をかければその分だけ成果物(作品)はよくなる、という考え方がありました。 また、映像制作という仕事が好きで、やりがいを感じている社員が多いため、 生活にオンオフ(仕事とプライベート)の線引きがない社員も多く意識改革は難航しました。 効率よく生産性を高めることの重要性を理解してもらうことにも難しさを感じましたし、 また、受注型ビジネスのため、自社だけでの改革では限界があるという問題も大きな壁として立ちはだかりました。

一之瀬)
そのような状況でもトライアルチームを継続していこうと考えた理由は?

三井)
カエル会議を進める中で、ワークライフバランスの考え方がゼロだった人たちが、 全員ではないにしても少しずつ意識が変わっていく様子が見られました。 小さいながらも起こった変化を一部(トライアルチーム一期目)だけで終わらせるのではなく、 制作部門全部に浸透させたいと考えました。
また、制作の仕事は若いうちはできるけれど、年を重ねると続けられないという一般的な見方があったのですが、 せっかく携わった好きな仕事で長く働き続けてもらいたい、 という思いからもこの試みを広げていきたいと感じました。

一之瀬)
トライアルチームが取り組みを進める中で例えばどんな変化がありましたか?

三井)
良い仕事をするためには、しっかり休んで、インプットすることが重要という意識や、 必要があれば取引先に交渉しようという主体的な意識が芽生えました。
例えば、休日出勤が当たり前のチームにいた30代女性社員が入社して初めて長期休暇を取得しました。 「無理だと思っていたけれど思い切って取ろうと決めたら本当に休めた。休んでみると初めて見える景色があった。」 という言葉が本当に印象的で今でも忘れられません。 やってみて初めてわかること、わかったことがあった 。 その後もこの女性社員は長期休暇を継続して取得しています。

一之瀬)
私も覚えています。とてもいい表情をしていましたよね。

三井)
他にも自分たちで変えられることは変えていこうという前向きな意識が浸透していきました。 第一期に参画した映像字幕を制作するチームでは、絶対的な必要性がない立ち合いは止めよう、 などの動きが出ました。第二期、第三期では、不要なコンテ作成を省略して進めたり、使用ソフトをお客様と共通とし、 軽微な修正はお客様が自分できるようにするなど、今までは当たり前のようにやってきたことに対し、 自分たちの本来の業務って何?ということを改めて考えるきっかけになりました。


初回のカエル会議はひとりで敵地に乗り込む心境でした

一之瀬)
今でこそこのような良い変化が起きていますが、取り組み当初は大変でしたよね。

三井)
やはり働き方改革の意識が浸透していなかった第一期が一番大変でしたね。初回のカエル会議はひとりで敵地に臨む感じでした。実際、初めの頃は部署メンバーが参加せずにリーダーと私たちだけで、ということが何度もありました。それが次第に一人増え、二人増え、最終的にはほぼ全員が出てくれるようになったチームもありました。
まずはリーダーと「そもそも働き方改革とは?」という話をして、そこで実は自分たちのやりたかったことと同じ方向なのだ、という理解を得てからは動きが変わったと思います。まずはリーダーが気づいてくれたことが大きかったです。
別のチームでは、「チームの課題は何か?どんなことを進めていきたいか?」という対話をひとつひとつ深める中で、リーダーがカエル会議の招集を「しなくては」から「する」に変わりました。大変だった中でもリーダーから変化がみられたことで救われました。ゼロからのスタートだったということもあり、変化の幅が一番大きかったのは第一期でしたね。


3年間の継続、会社全体としてトライしていこうという動きが加速

一之瀬)
第一期から第三期まで最終発表会 を見てきてどうでしたか?

三井)
忙しい中でも、あるチームが、発表会資料の補足として効率的な仕事のノウハウをまとめた“虎の巻”を作成してくれたことが非常にうれしかったですし、その内容も良いものでした。経営層からも多忙な二宮委員長が発表会に毎回出席してくれたことで、会社としての取り組みであることが伝えられたと感じています。

亀井)
一期はリーダーだけが発表していましたが、二期、三期はリーダーだけでなくメンバーからの発表もあり、みんなで取り組もうとしてくれているように感じました。それが良かったと思います。新入社員が発表するチームもありました。

三井)
三期の発表会では、対談形式の意見交換会を実施した際にいくつも質問がでていて、参加者の意識の変化を感じました。

清水)
トライアルチームに関わらず、会社全体として変わってきたと感じることにはどんなことがありますか?

三井)
スペシャルホリデーという報奨金付きの長期休暇制度を会社として設けたのですが、導入当初は「制度はあっても取得できないもの」という考えが非常に多く、実際に取得する人も少なかったのですが、次第に取得者が増えていきました。もちろん職種によっては依然として取得しにくいという状況もありますが、その中でも確実に取得率は上がっており、良い流れが出てきていると感じます。
他にもこの3年間の中で初めて男性社員が育児休暇を取得し、その後も育休取得者が数人続いたり、土日に仕事をせず休むことに抵抗感がなくなってきたように思います。  
また、トライアルチーム以外でも、会社全体としていろんなことにトライしていこうという動きが出ていると感じています。制度だったり、システムだったり、そういう機運があり、管理部門と現場が同じ方向に向いていると感じられるようになってきています。


全面サポートから自走へ。事務局としての役割

清水)
このような流れになるまでに、特に事務局として、難しいけれど何とか乗り越えてこれた、ということはありますか?

三井)
忙しい中、カエル会議に少しでも参加してもらえるようにフォローするなどの工夫はしてきました。例えば議事録の作成、リマインドメール、アラートを出すといった仕組みです。「人事系のメールは仕事のメールに埋もれる」と聞いたので、いろいろな手を尽くして気づいてもらえるようにしました。電話をしたり、粘り強く取り組みました。

亀井)
ただ、やりつつも本当に意味あるのかな?迷惑じゃないかな?と不安もありました。 ある時、チームリーダー2名と会議をした際に、「あのしつこくやってくれるのが助かるんだよねー、あれは続けてほしい。」というリーダーの発言に、本当にうれしくなり、わかり合えた気がしました。そうしてだんだんめげなくなりました(笑)

三井)
事務局で議事録を作成していますが、本来議事録は欠席した方にも事前に読んでもらった上で参加してもらうことで、カエル会議を効果的に進めるためのものですが、最初の頃は、みなほとんど読んできませんでした。そのため、カエル会議の最初に議事録を読んでもらう時間を作り、振り返りをしていました。その中で徐々にリーダー以外の方が自発的に動くようになり、二期に入ると、リーダー以外のメンバーが自発的にリマインドや準備なども行うようになってくれました。


「すべての意見を否定しない」という一貫したマインド  ~コンサルタントの関わり~~コンサルタントの関わり~

一之瀬)
コンサルタントの支援や関わり方についてはいかがでしたか?

三井)
カエル会議では「本音で話す」ということがとても大事だと感じています。その中でコンサルタントが、「すべての意見を否定しない」というマインドを一貫して伝えてきてくれたのですが、そこは大事な点だと感じています。このグランドルールがあるおかげで若手が意見をいいやすくなり、実際にカエル会議の中で、リーダーがメンバーの意見を否定するような場面があった際、「それ、否定していますよ」というフィードバックもありました。

社内報にも掲載されたのですが、トライアル終了後のリーダー対談で「若手の話を聞いて意外だったし、勉強にもなったのは、仕事に対してモチベーションが高くて意欲のある子が、同じくらいの量の不満を抱えていたこと」と話しています。またそのチームではある優秀な女性社員が「仕事が好きで、それができれば良いと思っていたが、それでも本当はプライベートも大事にしたい。」と発言したことがリーダーの印象に残っているとも言っていました。
これらも「すべての意見を否定しない」というルールの中でこそ出てきた言葉だと思います。その後、このチームでは、“○○時以降は電話・メールをしない(緊急対応は除く)“という取り組みを自ら考え、実践しました。

一之瀬)
そのチームでは、夜、連絡が来ない時間があることで心もリラックスできるようになったと仰っていましたね。

三井)
他には、他社との比較が自分たちではできないので、その点をコンサルタントの視点として聞くことができたのも大きかったと思います。実際には実現できなかったのですが、最初に「現場の働き方を知りたいので、1日密着したい。」と言ってもらえたこともありがたいと感じました。コンサルタントのお二人がこちらの働き方を受け止めようとしてくださっているなと感じたことを覚えています。
また、トライアルチームに対して自分たちで考えさせようとしてくれていたことも良かったと感じます。指導型ではないので、自分たちでどうしようかと考えて進めたことで結果として上手くいったと感じています。チームによって特徴や状況がだいぶ違うので、それに対応いただいたことも感謝しています。


最後に、一番印象に残っていることは?

亀井)
少し抽象的になるのですが、最初、参加メンバーは「何でこんなことやるんだ」というような態度だけれど、最後にはそれぞれの中でちょっとずつ、自分なりにどういう場にしようか考えるようになる。
例えばリーダーだったら若手の意見を聞く場にしようとか、若手であればスキルを学ぶ場にしようとしていた。そういう良い機会になっていたと感じます。8カ月間やるからこそ、自分なりの働き方改革を考えて何とかしていこうとしていました。

三井)
チームとしての相乗効果を考えた時に、仕事のスキルよりも一番大事なのはコミュニケーションなんだな、というのが実感としてあります。コミュニケーションさえ上手く行っていれば大概のことがうまくいく、クリアできるんじゃないかな、と感じます。だからこそ「すべての意見を否定しない」が大事ですね。

一之瀬、清水)
貴重なお時間をありがとうございました。


働き方改革に取り組んだトライアルチームの結果(一例)

Aチーム  残業 50%削減  売上目標 144%達成  CM制作関係
Bチーム  残業 50%削減  売上目標 121%達成  音響字幕制作関係
Cチーム  残業 63%削減  休暇取得 74%増    映像制作関係


取り組み詳細はこちらをご覧ください。
いくつかトライアルチームの事例をご紹介しています。

会社名 株式会社東北新社
業種  映像制作
従業員 約800名


株式会社東北新社様 事例紹介

株式会社東北新社が働き方改革をスタートしたのは、2015年10月のこと。今でこそ浸透している「働き方改革」という言葉がまだそれほど使われていなかった時から 風土改革を軸に着手されたことが特徴的と言えます。取り組みから3年半。会社のこれまでの取り組みとその変化について、当初から専任担当として関わっていらっしゃる、 東北新社 ワークスタイルデザイン室の三井様と、2017年に新卒入社でワークスタイルデザイン室に配属となり、そこから担当されている亀井様にお話を伺いました。
(インタビューはセントワークス株式会社 一之瀬と株式会社エフコネクト 清水)


働き方改革に取り組んだトライアルチームの結果(一例)

Aチーム  残業 50%削減  売上目標 144%達成  CM制作関係
Bチーム  残業 50%削減  売上目標 121%達成  音響字幕制作関係
Cチーム  残業 63%削減  休暇取得 74%増    映像制作関係



「優秀な人材の確保」と「生産性の向上」を目指して働き方改革がスタート

一之瀬)
働き方改革に着手されたきっかけは、どのようなことでしたか?

三井)
きっかけは、会社の競争力を高めるため2015年年頭からスタートした「改革プロジェクト」でした。これは、「会社を変えていく」ことを目的として様々な角度から改革を試みる取り組みです。 その中で、ワークライフバランスや新たな働き方の実現の方向性を示し、意識改革・風土改革を進めるために「働き方改革委員会」が設置されました。 (「働き方改革委員会」は2018年7月に「ワークスタイルデザイン室」として独立組織に)

「働き方改革委員会」が目指したのは、長時間労働が恒常化している映像制作業界の過去の習慣やルールから、いち早く脱却すること。 年齢性別に関係なく誰もが活き活きと働き続けることができること。そして、「モノづくりもプライベートも両方楽しみたい!」が成立する会社になること。
その背景には、人材の流出、優秀な人材の確保が難しくなったことがありました。すでに社員の約4割は女性社員でしたが、女性が昇進・キャリアアップを積極的に望める環境ではなかったため、 一部の制作部門においては、結婚や育児を考えた優秀な人材が辞めてしまう…ということが起きていました。


「やるならいち早く、ちゃんと取り組もう!」というトップの方針から外部に依頼

一之瀬)
外部コンサルタントに依頼しようと考えた理由は?

三井)
取り組み以前は「ワークライフバランス」という言葉とはかけ離れた職場環境でしたし「ワークライフバランス」という言葉も社内ではほとんど知られていませんでした。 そのような中で、先の意識や行動を変え、新しい考え方を根づかせるには外部の専門家の力が必要と判断し、外部コンサルタントを入れることを決断しました。

一之瀬)
会社によっては自社で進めたり、コストをかけられないという企業もある中で、大きな決断であったと推測します。それでも意識や風土を変えるためには外部の力を借りる必要があると考えられたのですね。

三井)
「やるならいち早く、ちゃんと取り組もう!」という働き方改革委員会の二宮委員長(当時は副社長。現社長)の方針がまずあったことが、外部に依頼した大きな理由です。

一之瀬)
三井さんは、働き方改革委員会が設置された時に異動してきたそうですが、最初はどんなお気持ちでしたか?

三井)
「働き方改革って何?」という状態で、最初に感じたのは「何をどうしたらいいの?」という戸惑いでした。それでもその進め方を模索していく中で、株式会社ワーク・ライフバランス 社長である小室淑恵さんの存在を知り、 ワークライフバランスについて学び、コンサルタント養成講座も受講しました。そしてやはり外部の力も必要と考え、映像制作プロダクションやメディア関係を手掛けているコンサルティング会社がほとんど見つからない中、 何社かの話を聞いた結果、セントワークスに依頼。まずは全社員を対象とした働き方改革セミナーを実施し、その後、現場の働き方改革として、トライアルチームを選出して毎月カエル会議を行いました。


意識改革・風土改革の難しさと見えてきた変化

三井)
一番難しかったのは、社員の意識を変えることでした。 まず、クリエイティブな仕事の性質上、正解や明確なゴールが無いに等しく、 時間をかければその分だけ成果物(作品)はよくなる、という考え方がありました。 また、映像制作という仕事が好きで、やりがいを感じている社員が多いため、 生活にオンオフ(仕事とプライベート)の線引きがない社員も多く意識改革は難航しました。 効率よく生産性を高めることの重要性を理解してもらうことにも難しさを感じましたし、 また、受注型ビジネスのため、自社だけでの改革では限界があるという問題も大きな壁として立ちはだかりました。

一之瀬)
そのような状況でもトライアルチームを継続していこうと考えた理由は?

三井)
カエル会議を進める中で、ワークライフバランスの考え方がゼロだった人たちが、 全員ではないにしても少しずつ意識が変わっていく様子が見られました。 小さいながらも起こった変化を一部(トライアルチーム一期目)だけで終わらせるのではなく、 制作部門全部に浸透させたいと考えました。
また、制作の仕事は若いうちはできるけれど、年を重ねると続けられないという一般的な見方があったのですが、 せっかく携わった好きな仕事で長く働き続けてもらいたい、 という思いからもこの試みを広げていきたいと感じました。

一之瀬)
トライアルチームが取り組みを進める中で例えばどんな変化がありましたか?

三井)
良い仕事をするためには、しっかり休んで、インプットすることが重要という意識や、 必要があれば取引先に交渉しようという主体的な意識が芽生えました。
例えば、休日出勤が当たり前のチームにいた30代女性社員が入社して初めて長期休暇を取得しました。 「無理だと思っていたけれど思い切って取ろうと決めたら本当に休めた。休んでみると初めて見える景色があった。」 という言葉が本当に印象的で今でも忘れられません。 やってみて初めてわかること、わかったことがあった 。 その後もこの女性社員は長期休暇を継続して取得しています。

一之瀬)
私も覚えています。とてもいい表情をしていましたよね。

三井)
他にも自分たちで変えられることは変えていこうという前向きな意識が浸透していきました。 第一期に参画した映像字幕を制作するチームでは、絶対的な必要性がない立ち合いは止めよう、 などの動きが出ました。第二期、第三期では、不要なコンテ作成を省略して進めたり、使用ソフトをお客様と共通とし、 軽微な修正はお客様が自分できるようにするなど、今までは当たり前のようにやってきたことに対し、 自分たちの本来の業務って何?ということを改めて考えるきっかけになりました。


初回のカエル会議はひとりで敵地に乗り込む心境でした

一之瀬)
今でこそこのような良い変化が起きていますが、取り組み当初は大変でしたよね。

三井)
やはり働き方改革の意識が浸透していなかった第一期が一番大変でしたね。初回のカエル会議はひとりで敵地に臨む感じでした。実際、初めの頃は部署メンバーが参加せずにリーダーと私たちだけで、ということが何度もありました。それが次第に一人増え、二人増え、最終的にはほぼ全員が出てくれるようになったチームもありました。
まずはリーダーと「そもそも働き方改革とは?」という話をして、そこで実は自分たちのやりたかったことと同じ方向なのだ、という理解を得てからは動きが変わったと思います。まずはリーダーが気づいてくれたことが大きかったです。
別のチームでは、「チームの課題は何か?どんなことを進めていきたいか?」という対話をひとつひとつ深める中で、リーダーがカエル会議の招集を「しなくては」から「する」に変わりました。大変だった中でもリーダーから変化がみられたことで救われました。ゼロからのスタートだったということもあり、変化の幅が一番大きかったのは第一期でしたね。


3年間の継続、会社全体としてトライしていこうという動きが加速

一之瀬)
第一期から第三期まで最終発表会 を見てきてどうでしたか?

三井)
忙しい中でも、あるチームが、発表会資料の補足として効率的な仕事のノウハウをまとめた“虎の巻”を作成してくれたことが非常にうれしかったですし、その内容も良いものでした。経営層からも多忙な二宮委員長が発表会に毎回出席してくれたことで、会社としての取り組みであることが伝えられたと感じています。

亀井)
一期はリーダーだけが発表していましたが、二期、三期はリーダーだけでなくメンバーからの発表もあり、みんなで取り組もうとしてくれているように感じました。それが良かったと思います。新入社員が発表するチームもありました。

三井)
三期の発表会では、対談形式の意見交換会を実施した際にいくつも質問がでていて、参加者の意識の変化を感じました。

清水)
トライアルチームに関わらず、会社全体として変わってきたと感じることにはどんなことがありますか?

三井)
スペシャルホリデーという報奨金付きの長期休暇制度を会社として設けたのですが、導入当初は「制度はあっても取得できないもの」という考えが非常に多く、実際に取得する人も少なかったのですが、次第に取得者が増えていきました。もちろん職種によっては依然として取得しにくいという状況もありますが、その中でも確実に取得率は上がっており、良い流れが出てきていると感じます。
他にもこの3年間の中で初めて男性社員が育児休暇を取得し、その後も育休取得者が数人続いたり、土日に仕事をせず休むことに抵抗感がなくなってきたように思います。  
また、トライアルチーム以外でも、会社全体としていろんなことにトライしていこうという動きが出ていると感じています。制度だったり、システムだったり、そういう機運があり、管理部門と現場が同じ方向に向いていると感じられるようになってきています。


全面サポートから自走へ。事務局としての役割

清水)
このような流れになるまでに、特に事務局として、難しいけれど何とか乗り越えてこれた、ということはありますか?

三井)
忙しい中、カエル会議に少しでも参加してもらえるようにフォローするなどの工夫はしてきました。例えば議事録の作成、リマインドメール、アラートを出すといった仕組みです。「人事系のメールは仕事のメールに埋もれる」と聞いたので、いろいろな手を尽くして気づいてもらえるようにしました。電話をしたり、粘り強く取り組みました。

亀井)
ただ、やりつつも本当に意味あるのかな?迷惑じゃないかな?と不安もありました。 ある時、チームリーダー2名と会議をした際に、「あのしつこくやってくれるのが助かるんだよねー、あれは続けてほしい。」というリーダーの発言に、本当にうれしくなり、わかり合えた気がしました。そうしてだんだんめげなくなりました(笑)

三井)
事務局で議事録を作成していますが、本来議事録は欠席した方にも事前に読んでもらった上で参加してもらうことで、カエル会議を効果的に進めるためのものですが、最初の頃は、みなほとんど読んできませんでした。そのため、カエル会議の最初に議事録を読んでもらう時間を作り、振り返りをしていました。その中で徐々にリーダー以外の方が自発的に動くようになり、二期に入ると、リーダー以外のメンバーが自発的にリマインドや準備なども行うようになってくれました。


「すべての意見を否定しない」という一貫したマインド  ~コンサルタントの関わり~~コンサルタントの関わり~

一之瀬)
コンサルタントの支援や関わり方についてはいかがでしたか?

三井)
カエル会議では「本音で話す」ということがとても大事だと感じています。その中でコンサルタントが、「すべての意見を否定しない」というマインドを一貫して伝えてきてくれたのですが、そこは大事な点だと感じています。このグランドルールがあるおかげで若手が意見をいいやすくなり、実際にカエル会議の中で、リーダーがメンバーの意見を否定するような場面があった際、「それ、否定していますよ」というフィードバックもありました。

社内報にも掲載されたのですが、トライアル終了後のリーダー対談で「若手の話を聞いて意外だったし、勉強にもなったのは、仕事に対してモチベーションが高くて意欲のある子が、同じくらいの量の不満を抱えていたこと」と話しています。またそのチームではある優秀な女性社員が「仕事が好きで、それができれば良いと思っていたが、それでも本当はプライベートも大事にしたい。」と発言したことがリーダーの印象に残っているとも言っていました。
これらも「すべての意見を否定しない」というルールの中でこそ出てきた言葉だと思います。その後、このチームでは、“○○時以降は電話・メールをしない(緊急対応は除く)“という取り組みを自ら考え、実践しました。

一之瀬)
そのチームでは、夜、連絡が来ない時間があることで心もリラックスできるようになったと仰っていましたね。

三井)
他には、他社との比較が自分たちではできないので、その点をコンサルタントの視点として聞くことができたのも大きかったと思います。実際には実現できなかったのですが、最初に「現場の働き方を知りたいので、1日密着したい。」と言ってもらえたこともありがたいと感じました。コンサルタントのお二人がこちらの働き方を受け止めようとしてくださっているなと感じたことを覚えています。
また、トライアルチームに対して自分たちで考えさせようとしてくれていたことも良かったと感じます。指導型ではないので、自分たちでどうしようかと考えて進めたことで結果として上手くいったと感じています。チームによって特徴や状況がだいぶ違うので、それに対応いただいたことも感謝しています。


最後に、一番印象に残っていることは?

亀井)
少し抽象的になるのですが、最初、参加メンバーは「何でこんなことやるんだ」というような態度だけれど、最後にはそれぞれの中でちょっとずつ、自分なりにどういう場にしようか考えるようになる。
例えばリーダーだったら若手の意見を聞く場にしようとか、若手であればスキルを学ぶ場にしようとしていた。そういう良い機会になっていたと感じます。8カ月間やるからこそ、自分なりの働き方改革を考えて何とかしていこうとしていました。

三井)
チームとしての相乗効果を考えた時に、仕事のスキルよりも一番大事なのはコミュニケーションなんだな、というのが実感としてあります。コミュニケーションさえ上手く行っていれば大概のことがうまくいく、クリアできるんじゃないかな、と感じます。だからこそ「すべての意見を否定しない」が大事ですね。

一之瀬、清水)
貴重なお時間をありがとうございました。


働き方改革に取り組んだトライアルチームの結果(一例)

Aチーム  残業 50%削減  売上目標 144%達成  CM制作関係
Bチーム  残業 50%削減  売上目標 121%達成  音響字幕制作関係
Cチーム  残業 63%削減  休暇取得 74%増    映像制作関係


取り組み詳細はこちらをご覧ください。
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